※記事製作時のバージョン:Blender2.92
プリンシプルBSDFで、いろいろな質感表現の方法を探っていくシリーズ。
第11回はスペキュラーチントについてです。
「○○の作り方」という内容にならないので、単独で解説します。
スペキュラーチント
通常、 非金属の反射光は、当たった光をそのまま反射します。
スペキュラーチントは、その反射光にベースカラーの色味を付け加えるパラメーターです。
※Tint:色うつり・薄く色を付ける
スペキュラーチントを使っても、かすめるような角度(グレージング角)の反射は色変化しません。
スペキュラーチントは色味に作用するものなので、ベースカラーが無彩色の場合は効果がありません。
金属反射はスペキュラーではないため、メタリックが 1.0 の場合、スペキュラーチントは効果がありません。
※金属についての詳細はこちら
プリンシプルBSDFで金属の作り方 - Blenderであそんでみた
また、シーンとクリアコートの反射はスペキュラーではないので、スペキュラーチントの影響を受けません。
※シーンについての詳細はこちら
プリンシプルBSDFで布の作り方 - Blenderであそんでみた
※クリアコートについての詳細はこちら
プリンシプルBSDFで布の作り方 - Blenderであそんでみた
スペキュラーチントの使い道
結論から言うと、スペキュラーチントは何に使うのかよく分からないパラメーターです。
Principled (プリンシプル) BSDF — Blender Manualには
このパラメーターは技術的物理的に正確ではなく、複雑な表面構造を持つマテリアルの外観を模倣しています。
と書かれています。
しかし肝心な「複雑な表面構造を持つマテリアル(素材・材質)」とはどういう物なのか、具体的な説明がどこにもありません。
いろいろ試した結果、とりあえず前回の「布の作り方」で紹介したとおり、ベルベットなど毛足の長い布を作るのには使えました。
※布についての詳細は、こちらの記事を参照してください。
布は確かに「複雑な表面構造を持つマテリアル」ですが、マニュアルが示しているのが布の事なのかは分かりません。
それ以外では、「○○の質感表現に使える」とはっきり言えるものは見つけられませんでした。
何かしら使い道があるとは思うのですが、質感表現のメインとなる用途は無いように思います。
個人的な結論としては、スペキュラーチントは「かなり特殊な表現を狙うのでない限り、基本的に使わないパラメーター」だと思います。
補足:スペキュラーチントにできないこと
スペキュラーチントでは、ベースカラー以外の色を反射光に付け加える事はできません。
「地色と異なる反射光」を作りたい場合は、下の画像のように光沢シェーダーを組み合わせて作ります。
以上、スペキュラーチントについてでした。
※本文添削・構成アドバイス:相方
使用した3Dモデル
マテリアルボールの3Dモデルはこちらからお借りしました。
Material ball in 3D-Coat - Download Free 3D model by 3d-coat (@3d-coat) [a6bdf1d] - Sketchfab is licensed under Creative Commons Attribution