Blenderであそんでみた

3D-CGソフトBlenderの小技や豆知識など。

Blenderの流体シミュレーションで「コップに水を注ぐ/後編」

※記事製作時のバージョン:Blender3.2

 

簡単な見本を作りながら、流体シミュレーションの使い方を紹介していくシリーズ。
第10回は、「コップに水を注ぐ」やり方・後編です。

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Blenderの流体シミュレーションで「コップに水を注ぐ/前編」

※記事製作時のバージョン:Blender3.2

 

簡単な見本を作りながら、流体シミュレーションの使い方を紹介していくシリーズ。
第9回は、「コップに水を注ぐ」やり方・前編です。

 

今回の記事は長いので、前・後編に分けています。

<前編>

<後編>

  • コップから水が漏れる現象の対処法
  • コップに水が食い込む現象の対処法
  • 流体に気泡を追加する方法
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手探りでLuxCoreRender その5「薄膜干渉の作り方」

※記事製作時のバージョン:Blender 2.93 , BlendLuxCore v2.6

 

LuxCoreRender(以下「LuxCore」と略)の使い方を手探りしていくシリーズ。
今回は薄膜干渉(はくまくかんしょう)の作り方です。

 

薄膜干渉って何?

油膜・シャボン玉・焼けた金属などの光沢が、見る角度によって虹色っぽく変化する現象です。
仕組みとしては「薄い膜の表面と裏面で反射した光が互いに干渉して、特定の波長の光を弱めたり強めたりする現象」となります。

【画像出典】
油膜・シャボン玉:薄膜干渉 - Wikipedia
車のマフラー:チタンマフラーの美しい焼き色の付け方とは? by 車選びドットコム

 

薄膜干渉の作り方

DisneyまたはGlassマテリアルで「Thin Film Coating(薄膜コーティング)」をONにすると、薄膜干渉が追加されます。

こちらはDisneyマテリアル。
※プリンシプルBSDFに相当するノードです。

こちらはGlassマテリアルです。

・・・初期状態ではなんだかどぎつい見た目になりますが、次のパラメーターでディテールを調整します。

  • Film Amount(薄膜の量)
  • Film Thickness(薄膜の厚さ)
  • Film IOR(薄膜の屈折率)

これらのパラメーターは「Thin Film Coating」がONの時だけノードに表示されます。
※「Film Amount」はDisneyマテリアルでのみ表示されます。

 

各パラメーターの働き

Film IOR

薄膜の屈折率です。
現実の数値を元に設定すると、リアルな見た目になります。

【参考値】

  • シャボン玉:1.33
  • 油膜:1.45
  • 酸化鉄:2.42
  • 酸化チタン:2.52

「焼けた金属」の薄膜干渉は加熱によって生じる金属の酸化膜が原因なので、元が鉄なら「酸化鉄」、元がチタンなら「酸化チタン」、というように設定します。
※現実の数値が分からない場合は、見た目が近そうな物質の数値で代用します。

 

Film Thickness

薄膜の厚さです。
「nm(ナノメートル)」単位で設定します。
※1nm=1/1,000μm(マイクロメートル)=1/1,000,000mm

現実の数値を元に設定するとリアルな見た目になる・・・はずなのですが、思ったような結果にならないこともあります。
現実の数値を参考にしつつ、画面上の見た目を元に調整するのが良いようです。

 

頂点ペイントやテクスチャなどを元にこの値を操作することで、薄膜干渉の模様の変化を表現できます。

※ここで使用している「Remap」ノードは、Cycles・EEVEEの「範囲マッピング」と同じ働きのノードです。

 

Film Amount(※Disneyマテリアルのみ)

元の質感の色に薄膜干渉の色をミックスする度合いです。
物理的な数値ではないので、画面上の見た目を元に好みで調整します。
設定範囲は「0~1」で、「0」にすると薄膜干渉の色が完全になくなります。

特に「メタリック」を「1」にして金属の質感を作る場合、薄膜干渉はかなりどぎつい色合いになるので、その見た目を調整するのに使います。

 

設定見本

いくつか設定見本を載せておきます。

自動車やバイクのマフラー(チタン製)の青い焼き色(ヒートグラデーション)
  • ベースカラー R:0.542、G:0.497、B:0.449
  • メタリック:1
  • 粗さ:0.1
  • Film Amount:0.95
  • Film Thickness:0~70
  • Film IOR:2.52

 

焼けた鉄
  • ベースカラー R:0.56、G:0.57、B:0.58
  • メタリック:1
  • 粗さ:0.2
  • Film Amount:1
  • Film Thickness:0~65
  • Film IOR:2.42

 

シャボン玉
  • Film Thickness:100~200
  • Film IOR:1.33

 

補足

Thin Film Coatingは、タマムシなどの昆虫の体色・CDの虹色・ビスマスの結晶など、構造色の表現にも使えます。

画像出典:構造色 - Wikipedia

 

構造色とは「色素や顔料ではなく、物質的な微細構造によって色が生じる現象」です。
薄膜干渉も構造色の一種ですが、他に「多層膜による干渉」「微細な溝・突起などによる干渉」などがあります。

 

 

以上、薄膜干渉の作り方でした。
次回はマテリアルの基礎についてまとめる予定です。

 

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使用した3Dモデル

マテリアルボールの3Dモデルはこちらからお借りしました。

Material ball in 3D-Coat - Download Free 3D model by 3d-coat (@3d-coat) [a6bdf1d] - Sketchfab is licensed under Creative Commons Attribution

 

参考サイト

シャボン玉の干渉膜の厚さと色

シャボン玉の膜厚

技術情報の提供 | 中小企業支援センター

構造色とは 3|テクノシナジー

 

手探りでLuxCoreRender その4「コースティクスと分光の作り方」

※記事製作時のバージョン:Blender 2.93 , BlendLuxCore v2.6

 

LuxCoreRender(以下「LuxCore」と略)の使い方を手探りしていくシリーズ。
今回はコースティクス分光を作ってみます。

コースティクス(Caustics)」とは「反射・屈折による集光模様」のこと。
「分光(Dispersion)」とは「光の波長ごとの屈折率の違いにより、屈折光が虹色に分解される現象」のことです。

この2つはLuxCoreの目玉機能のひとつで、「Cyclesではできない綺麗なコースティクスを作りたい」というのが、LuxCoreを使い始める理由のトップではないかと思います。

コースティクスの作り方はとても簡単なので、さっそく作ってみましょう。

 

コースティクスの作り方

「レンダープロパティ」>「ライトパス」>「Light Tracing」をONにします。

これで、マテリアル設定に基づいたコースティクスが描画されるようになります。

Glassマテリアルでは、水やガラスなどの屈折光のきらめき(屈折コースティクス)が描画されます。

 

スペキュラー(鏡面反射)または金属光沢のあるマテリアルでは、反射光が他のオブジェクトを照らす様子(反射コースティクス)が描画されます。

 

マテリアルによるコースティクス処理の違い

コースティクスがどのように処理されるかは、マテリアルによって異なります。
おおまかに特徴をまとめると次のようになります。

 

ラストの「粗さ」について少し補足しておくと、厳密には「0」の時だけ描画されるわけではなく、

というような境界になる値があります。
この値はマテリアルによって異なり、「0.049」や「0.0024」などの場合もあります。
ただ、どれにしても非常に小さい値なので、実質的に『「粗さ」が「0」の時だけコースティクスが描画される』と扱うのが簡単です。

 

なお、例外としてGlossy Coating(光沢のあるコーティング)とCarpaint(自動車の塗装)の2つは、「粗さ」の値に関係なく反射コースティクスが描画されます。

 

きれいなコースティクスを作るコツ

コースティクスの仕上がりには、ライトの設定が大きく影響します。
次の2つを設定すると、くっきりした綺麗なコースティクスができます。

1. ライトの半径を小さくする

 

2. ライトの明るさを強くする

 

Halt Conditions(停止条件)について

「Light Tracing」をONにすると、レンダリングの自動停止を設定する「Halt Conditions(停止条件)」に「Use Light Path Samples(ライトパスのサンプル数)」が追加されます。

 

停止条件は必要に合わせて使用します。
レンダリングの自動停止設定についての詳細は、こちらの記事を参照してください。

hainarashi.hatenablog.com

 

分光の作り方

Glassマテリアルの「分光」を操作すると、屈折光が虹色に分解されるようになります。

分光は「オブジェクト(水やガラス)を透かして見える像」と「屈折コースティクス」の両方に作用します。
「0」は分光なし。
値を大きくするほど分光が強くなります。

 

分光の設定について

「分光」パラメーターにマウスカーソルを重ねると、次の説明文が表示されます。

Dispertion strength(cauchy B coefficient)
Realistic values range from 0.00354 to 0.01342
Not supported by architectural and rough glass.

 

翻訳すると、次のようになります。

分散強度(コーシーB係数)
現実的な値は0.00354~0.01342です
建築用と粗さには対応していません。

「分光」に入力する値は、なにやら「分散強度(コーシーB係数)」という物理的な数値らしいですが、調べてもよく分かりませんでした。
これが分かれば、現実の数値を元にして簡単に設定できるようになるのですが・・・。
どなたか詳しい方、教えて下さい!

 

とりあえず「分光」の値は「0.00354~0.01342」の範囲で設定すると、現実的な見た目になるらしいです。

 

「Architectural(建築用ガラス)」と「Rough(粗さ)」は、Glassマテリアルのオプション設定です。
これらがONの場合、「分光」は働きません。

※窓ガラスを作る場合は「Architectural」をONにします。
 すりガラスや傷のあるガラスなどを作る場合は「Rough」をONにします。
 Glassマテリアルの詳しい使い方については、いずれ別の記事で解説する予定です。

 

補足

コースティクスと分光は個別にON・OFFを切り替えられるので、必要に応じて組み合わせて設定できます。
コースティクスはOFFで、分光だけON」といった設定も可能です。
(そういう状況があるか分かりませんが・・・念のため。)

 

 

以上、コースティクスと分光の作り方でした。
次回は薄膜干渉の作り方です。

 

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使用した3Dモデル

マテリアルボールの3Dモデルはこちらからお借りしました。

Material ball in 3D-Coat - Download Free 3D model by 3d-coat (@3d-coat) [a6bdf1d] - Sketchfab is licensed under Creative Commons Attribution

 

参考サイト

How to create Caustics in Blender • Magic Mark

 

手探りでLuxCoreRender その3「最初に知っておいた方が良い基本設定など」

LuxCoreRender(以下「LuxCore」と略)の使い方を手探りしていくシリーズ。
今回はLuxCoreの基本設定というか、最初に知っておいた方が良い操作方法などについてまとめました。
※記事製作時のバージョン:Blender 2.93 , BlendLuxCore v2.6

 

LuxCoreの設定項目や操作方法は、CyclesやEEVEEとはかなり変わります。
ある程度使い方を推測できるものも多いですが、中には知らなければ分からないようなものもあります。

この記事では、特に知っておいた方が良い4つのポイントについて解説します。

  • レンダリングの自動終了設定
  • デノイズの使い方
  • マテリアルプレビューの表示
  • 新規マテリアルをプレビューに反映させる方法
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手探りでLuxCoreRender その2「インストール」

LuxCoreRenderの使い方を手探りしていくシリーズ。
今回はBlenderにLuxCoreRenderをインストールします。

※記事製作時のバージョン:Blender 2.93 , BlendLuxCore v2.6

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手探りでLuxCoreRender その1「LuxCoreRenderって何?」

最近、BlenderLuxCoreRenderを使い始めました。
LuxCoreRenderは、簡単にいうと「Cyclesよりきれいな画像が出力できるレンダーエンジン(ただしCyclesより時間がかかる)」です。
特にコースティクス(反射・屈折による集光模様)の表現がきれいで、金属や水・ガラスなどをレンダリングすると、驚くほどリアルな画像が作れます。

しかし詳しい使い方の説明が少ないので、いろいろと手探りです。
せっかくなので備忘録を兼ねて、自分の手探りっぷりを書き残していこうと思います。

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