Blenderであそんでみた

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Blenderの流体シミュレーションで「フローを動かす」

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※記事製作時のバージョン:Blender2.92

 

簡単な見本を作りながら、流体シミュレーションの使い方を紹介していくシリーズ。
第6回は、「フローを動かす」やり方です。

 

これまでの記事で触れた手順やパラメーターなどは、詳しい説明を省略します。

未読の方はこちらからどうぞ。

流体シミュレーション(液体) カテゴリーの記事一覧 - Blenderであそんでみた

 

実践「フローを動かす」

今回作るのは、こちらのアニメーション(150フレーム)です。

vimeo.com

 

では、さっそく作ってみましょう。

 

まずはシミュレーションの前準備。

1. 適当な場所にblendファイルを保存。

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blendファイル保存

 

2. 追加 > メッシュ > ICO

3. ICO球を選択した状態で
 オブジェクト > クイックエフェクト > クイック液体

4. ドメイン > キャッシュ

  • シミュレーション終了フレーム > 150
  • タイプ > モジュール
  • リジューム可能 > ON

5. アニメーション終了フレーム > 150

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前準備

 

6. フロー > 設定 > フローの挙動 > 流入

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フローを流入口に

 

以上で前準備は終了。
ここからが今回の本題です。

 

7. ドメインの寸法を、 X : 10m , Y : 2.8m , Z : 7m に変更

8. フローのスケールを、 X , Y , Z すべて 0.6 に変更

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トランスフォームを変更

 

9. 追加 > エンプティ > 矢印

  • 位置 Z : 4m
  • 回転 Y : 180°

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エンプティを追加

 

10. Shift キーを押しながら「フロー」→「エンプティ」の順に選択 > Ctrl + P > オブジェクト

これでフローがエンプティの子になります。

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フローをエンプティの子にする

 

11. エンプティのY軸回転に、下記のキーフレームを打つ

  • 1 , 50 , 100 , 150フレーム > 210°
  • 25 , 75 , 125フレーム > 150°

これでエンプティとフローが、振り子状に動くようになります。

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エンプティの回転にキーフレームを打つ

 

12. フロー > 初期速度 > ON

初期速度をONにすることで「ソース」のパラメーターが有効になり、フローの動きに応じて液体に勢いがつくようになります。

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初期速度

 

13. フローのスケールに、下記のキーフレームを打つ

  • 76フレーム > 0.6
  • 112フレーム > 0

これで76フレーム以降、フローの寸法が小さくなっていくのに従い、液体の発生量が減るようになります。
フローの寸法がある程度以上小さくなった時点で、液体は発生しなくなります。

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スケールにキーフレームを打つ

 

14. ドメイン > 設定 > 分割の解像度 > 128

15. ドメイン > 液体 > メッシュ > ON
ドメインのキャッシュのタイプがモジュールなので、メッシュもベイクが必要です。

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分割の解像度とメッシュ

 

以上でシミュレーションの設定は完了。
マテリアルや背景などの設定をしたら完成です。

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完成

 

今回使用した機能の解説

初期速度 > ソース

流体の初速に、フローの移動速度 × ソースの値 の勢いを追加します。
初期値は 1.0 で、通常はこのままの値で使います。

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初期速度 > ソース

 

ソースの値を上げると、フローの動きに対して流体につく勢いが大きくなり、下げると小さくなります。

 

フローの寸法と液体の発生について

フローの寸法がある程度以上小さくなった時点で、流体は発生しなくなります。
どこまで小さくなったら発生が止まるかは、ドメインのボクセルサイズによって決まります。
ボクセルサイズが小さい(分割の解像度が高い)ほど、フローの限界サイズも小さくなります。

 

今回の見本では、単純にフローを 0.0 まで縮小して、その途中で流体の発生が止まるに任せました。
意図したタイミングで流体の発生を止めたい場合は、「フローを使用」をOFFにします。

 

 

以上、「フローを動かす」でした。

 

※添削・構成アドバイス:相方

 

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