※記事製作時のバージョン:Blender2.83
プリンシプルBSDFで、いろいろな質感表現の方法を探っていくシリーズ。
第2回はプラスチックやゴムなど、樹脂製品のマテリアルの作り方です。
プリンシプルBSDFには沢山のパラメーターがありますが、樹脂製品はベースカラーと粗さ(ラフネス)を調整するだけで作ることができます。
ベースカラー(Base Color)
サーフェスの色を設定するパラメーターです。
ベースカラーは単色でも使えるし、テクスチャで複雑な配色にすることもできます。
ベースカラーは自由に設定してOKですが、V(明度)は「0.009~0.875」の範囲にします。
この範囲外にすると、現実には存在しないくらい「暗すぎる」「明るすぎる」不自然な見た目になります。
※ここでは白黒(無彩色)で見本を作っていますが、赤・青・緑など色味がある場合(有彩色)も同じ範囲で設定します。
粗さ(Roughness)
「物体表面の粗さ」を操作するパラメーターです。
この値が小さいほどツルツルに、大きいほどモヤッとします。
「新品」や「磨き仕上げ」のような滑らかな表面にしたい場合は粗さを小さく、「古びている」「ツヤ消し処理をされている」ような粗い表面にしたい場合は粗さを大きくします。
粗さは物体表面の、顕微鏡レベルの微細な凹凸の程度を表すパラメーターです。
「目で見て分かる引っ掻き傷が沢山ついている」というような表現はできません。
そういう質感はベースカラーやノーマルなどと連動させて、テクスチャで作ります。
こちらはマスグレイブテクスチャを使った傷表現の一例です。
マスグレイブテクスチャについては、こちらの記事をどうぞ。
見本をいくつか
ベースカラーと粗さの組み合わせで、いろいろな樹脂製品を表現できます。
いくつか見本を紹介します。
ご家庭によくあるプラスチック製品
粗さ:洗面器 0.2/バケツ・ボウル 0.3/ポンプボトル 0.4/ランドリーボックス 0.5
粗さに「これが正解」という値は無いので、感覚と好みで設定します。
タイヤ(ゴム製品)
粗さ:左から0.5/0.6/0.7/0.8
「0.5」はショップで買った新品、「0.8」になるとほったらかされて劣化した品、という感じです。
ビリヤードの球
かなり滑らかです。
粗さは「0.0」だと光沢がありすぎてわざとらしいかな? ということで「0.1」。
この辺もお好みで。
丸形ポスト
マテリアルのサーフェスで表現するのは表面素材なので、ペンキやラッカーなどで塗装された物はプラスチックと同じ樹脂製品扱いになります。
下地(この場合は鋳鉄)の凹凸をバンプやノーマルで表現すると、よりリアルになります。
以上、樹脂製品の作り方でした。
※添削・構成アドバイス:相方
使用した3Dモデル
マテリアルボールの3Dモデルはこちらからお借りしました。
Material ball in 3D-Coat - Download Free 3D model by 3d-coat (@3d-coat) [a6bdf1d] - Sketchfab is licensed under Creative Commons Attribution
参考サイト
『THE COMPREHENSIVE PBR GUIDE Volume 1: The Theory of PBR by Allegor…
『THE COMPREHENSIVE PBR GUIDE – Vol. 2: Practical guidelines for creat…
DONTNOD Physically based rendering chart for Unreal Engine 4 | Sébastien Lagarde
Physically Based Materials | Unreal Engine Documentation
追記
宣伝です。
今回サムネに使用したボーリングの球とピンの3DモデルをBOOTHで販売しています。
改訂履歴
2022年2月15日 ベースカラーの明度範囲についての説明を追加。